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【ライター記事】土に触れ、育て、味わう。『はだのコモンズ体験農園』で見つけた、はだのガストロノミー

はだのガストロノミー

「ガストロノミー」と聞くと、高級レストランや特別な料理を思い浮かべるかもしれません。でも本来は、その土地の風土や文化、人の営みまで含めて味わうこと。
今回訪れた「はだのコモンズ体験農園」で体験したのも、ただ野菜を育てる時間ではありませんでした。土に触れ、植え方を教わり、利用者同士で会話を交わしながら収穫の日を思い描く——。
そこには、“食べる”より前から始まっている、秦野らしいガストロノミーがありました。

ガストロノミーって何? まずは難しい言葉を翻訳してみる

はだのガストロノミー宣言ロゴ

近年注目されているガストロノミーは、“食べる”だけではなく、その土地の自然や文化、人とのつながりを含めて味わう、新しい観光スタイルとも言われています。心の豊かさや健康につながる「ウェルビーイング」という考え方も、そのひとつです。

表丹沢の麓に広がる秦野市は、全国名水百選にも選ばれた「秦野盆地湧水群」を形成する、緑豊かな自然とともに農業が営まれてきたまち。落花生や葉タバコなど、地域に根づいた農の文化も受け継がれています。

そんな秦野で、食×農×表丹沢をテーマにした【はだのガストロノミー宣言】の取組が始まっています。

その意味を知るために、5月に開催された「はだのコモンズ体験農園」の栽培講習会へ。実際に土に触れ、利用者と一緒に作業をしながら、“食べる”より前から始まるガストロノミーを体験してきました。

「農業やってみたい」を一人で終わらせない。はだのコモンズ体験農園へ

伊藤総司先生と講習を受ける利用者の皆さん

「家庭菜園に挑戦したけれど、うまく育たなかった」「農業に興味はある。でも、何から始めたらいいかわからない」

そんな“やってみたい”を後押しする場所として、2026年にスタートしたのがはだの都市農業支援センターが運営する「はだのコモンズ体験農園」です。

5月に開催された栽培講習会を訪れると、利用者は子ども連れの家族から、趣味として野菜づくりを始めたい人までさまざま。畑には終始、和やかな空気が流れていました。

実際に参加して感じたのは、「農業を始める場所」というより、「家族で土に触れあえる場所」であるということ。

子どもたちが夢中になって土を触り、大人は隣で作業をしながら会話する。普段はつい時間に追われがちな大人にとって、子どもと同じ場所でゆっくり過ごせる時間は意外と貴重なのかもしれません。

実はこの農園、単に区画を貸し出して野菜を育てる場所ではありません。その背景には、はだの都市農業支援センターが描く「農に関わる人の裾野を広げたい」という構想があるのでした。

はだの都市農業支援センターで「はだのコモンズ体験農園」を担当する栗原大和さんは、この農園について、農業に興味を持つ入り口から、農家を目指す段階まで、さまざまな形で農と関わる人を増やしていく取組の一つだと話します。

「農業に興味を持ってもらう層から、農家を目指す層まで。いろいろなメニューをそろえて、農に関わる人の裾野を広げる活動なんです」

まずは地元野菜を購入して興味を持つ。それから収穫体験へ参加する。さらに次のステップでは、自分で育ててみる。もっと経験を積めば、市民農園や農業塾などへ進む道もある——。

そんな“農との関わり方”のひとつとして生まれたのが、はだのコモンズ体験農園でした。

特徴的なのは、野菜づくりを一人にしない仕組みが整えられていることです。

利用者は区画を借りるだけではなく、定期的な栽培講習会で講師から直接学ぶことができます。さらにICTツールを活用した利用者向けのLINEオープンチャットでは、講習会やイベントのお知らせ、講習内容や栽培動画などを共有しています。“畑を貸す”だけではなく、“育て方ごと共有する”。 そんな継続的なサポートも、この農園の特徴でした。

野菜作りに必要な貸し出し農具が充実

また、種や苗、農機具などは基本的に用意されているため、手ぶらで参加できるのも魅力のひとつ。重い道具を自身で用意する必要がなく、子ども連れでも参加しやすい環境です。

二児の母である記者が親目線で見ると、「子どもを連れて畑へ行く」と聞くだけで準備の多さを想像してしまいます。でも、道具をそろえる必要がなく、わからないことは先生や周囲に聞ける。そのハードルの低さは、想像以上でした。

栗原さんは、「JAはだのがついているから、苗も農機具もある。農機具が壊れれば修理できる環境もあるし、安心して使ってもらえると思います」と話します。

実際に利用者からも、「農園を貸しているだけのところは見かけるけれど、先生がいて説明してもらえるのがありがたい」という声が聞かれました。

栽培講習会で指導を行う伊藤総司先生は、初心者でも気負わず続けられるよう、説明の仕方を工夫しているそうです。

「難しくなっちゃうと嫌がられちゃう。なるべく細かいことは言わずに、“こんな感じでいいよ”って」

その柔らかな距離感があるからか、講習中は利用者から自然と質問が飛び交います。

野菜を育てる知識だけではなく、人とのつながりも育っていく。

はだのコモンズ体験農園は、“畑”でありながら、小さなコミュニティでもあるように感じました。 そして、この日の栽培講習会では、実際に落花生やサツマイモの植え付けが始まります。まず取り組んだのは、意外にも「植える」ではなく、落花生の殻をむく作業でした。

笑い声が飛び交う畑はみんなで育てる「共同区画」

記者も参加した落花生の殻むき

はだのコモンズ体験農園には、利用者ごとの区画で野菜を育てる「個人区画」と、利用者みんなで植え付けや収穫を行う「共同区画」があります。

今回参加した5月の栽培講習会では、この共同区画で落花生とサツマイモの植え付けを体験しました。

共同区画は、自分の畑を育てるだけではなく、「みんなで育てて、みんなで収穫を楽しむ」場所。利用者同士で自然と会話が生まれやすく、この日の畑にも終始、和やかな空気が流れていました。

まず始まったのは、植え付けではなく落花生の殻むき。

栗原さんから、「ここに指を入れると割りやすいですよ。種を傷つけないようにするのがポイントです」と説明を受けながら、女性や子どもたちを中心に、殻付き落花生から種を取り出します。

「硬い!」
「できた!」
「見て見て、きれいに割れた」

子どもたちが嬉しそうに種を見せ、大人たちもコツを教え合う。5月の青空の下に自然と会話が広がっていきました。

広々とした共同区画を耕す利用者の皆さん

一方その頃、畑では男性陣を中心にくわを持ってうね作りが進行中。

伊藤先生指導のもと、それぞれができることをしながら作業を進め、畑全体がひとつのチームのような雰囲気になっていました。

取材をしながら見ていたはずの記者も、気づけば落花生の殻むきに参加。

最初は少し硬く感じても、コツをつかむと“パキッ”と気持ちよく割れる瞬間があり、いつの間にか夢中になります。

栗原さんによると、落花生は実が熟しすぎると発芽率に影響するため、種として適しているものを選ぶことも大切なのだとか。

さらに驚いたのは、落花生の育ち方でした。

「黄色い花が咲いたあと、その部分が土の中に刺さって実になるんです」

“落花生”という名前の通り、花が落ちた先の土の中で育つという説明に、利用者からも驚きの声が上がります。

野菜を育てるというより、“生き物としての植物”を知っていく感覚に近いのかもしれません。

殻をむいた種は、そのまま共同区画へ。

うねに穴を開け、一粒ずつ落花生を植えていきます。続いて、秋の収穫を楽しみにしながらサツマイモの苗も植え付けました。

普段スーパーで並ぶ野菜を見るだけでは気づけない、“食べものになる前”の時間。

土を触りながら、誰かと会話しながら植える体験は、野菜を育てる以上の豊かさがあるように感じました。

「畑を貸す」だけじゃない。続けられる仕組みが整っていた

作物に水やりをする利用者

実際に栽培講習会へ参加する前は、「体験農園」と聞いて、区画を借りて自分で野菜を育てる場所をイメージしていました。

でも取材を終えて感じたのは、はだのコモンズ体験農園は“畑を貸す場所”というより、“野菜づくりを続ける仕組みごと用意された場所”だということ。

そのひとつが、利用者向けのLINEオープンチャットです。

講習会やイベントのお知らせだけでなく、講習内容や栽培動画も共有されていて、自宅でも作業内容を振り返ることができます。

畑へ来られない日でも、「次は何をする時期なのか」「この作業はどうやるのか」を確認できるので、初心者にとっては心強い存在になりそうです。

“講習の日だけ学ぶ”ではなく、“日常の中でも農とつながり続ける”。

ICTツールを活用したサポートは、忙しい子育て世代や仕事をしている人でも続けやすい理由のひとつなのかもしれません。

展示された農機具の体験

そして取材当日は、農機メーカーによる農機具の展示・体験会も開催されていました。

畑の一角では、利用者さんが実際に草刈り機を操作しながら説明を受ける姿も。最初は少し緊張した様子でも、体験後には笑顔が見られ、周囲からは「どうだった?」「意外と使いやすい?」と自然に会話が広がっていました。

こうした光景からも感じたのは、ここが単なる栽培の場ではなく、農業に関わる知識や道具、人とのつながりまで体験できる場所だということ。

JAならではのネットワークや設備が、そのまま利用者のサポートにつながっているようでした。

冷暖房完備の交流サロン

また、園内にはベンチや水洗い場が設置され、作業の合間に休憩できる環境も整っています。

さらに事務所内には、利用者同士が交流できる交流サロンや、収穫した野菜を調理できる調理室・調理器具、トイレも完備。駐車場も無料で利用できます。夏の農作業は熱中症の心配もありますが、冷暖房完備の交流サロンで涼をとれるので安心です。

そのなかで印象的だったのが、交流サロンにある農業電子図書館。農作物の病気や害虫、育て方の疑問などを検索できる仕組みがあり、

「葉っぱの色がおかしい」
「虫がついたけれど、どうしたらいい?」

そんな家庭菜園ではつまずきやすい悩みも、自分で調べやすくなっています。

“わからなくて諦める”を減らす工夫が、畑の外側にも用意されていました。 そして、育てた野菜は収穫して終わりではありません。

利用者向け特典として、収穫した野菜を使う料理教室や食の交流イベントも予定されているそうです。

育てる、収穫する、調理する、味わう。そして誰かと共有する。

はだのコモンズ体験農園は、野菜づくりだけではなく、“食”まで含めた体験が続いていく場所なのだと感じました。

育てて終わりじゃない。「食べる」までが、はだのコモンズ体験農園

利用者さんの質問に答える栗原大和さん(写真左)

畑で野菜を育てる——。

はだのコモンズ体験農園の魅力は、実際に参加してみると、それだけでは終わらないことに気づきます。

種や苗を植え、育て、収穫する。さらにその先には、「どう食べるか」まで楽しむ体験が用意されていました。

利用者向け特典として予定されているのが、収穫した野菜を使った料理教室や食の交流イベントです。

農園のあるはだの都市農業支援センターの施設内には調理室もあり、自分たちで育てた野菜を調理して味わう機会も設けられています。

栗原さんは、「収穫した野菜を使った料理教室もやります」と話します。

スーパーで買った野菜を食べるのとは違い、「この野菜、自分で植えたんだよね」「あの時みんなで収穫したやつだ」と会話が生まれる。

育てた時間ごと、食卓へ持ち帰る感覚なのかもしれません。

栽培講習会で指導を行う伊藤先生も、野菜は育てるだけではなく、食べるところまで含めて楽しんでほしいと考えています。

「収穫の話があったら、このくらいならこう食べるとおいしいよ、とか。とるだけじゃなくて、食べ方まで話すようにしています」

実際、取材中も落花生の話題になると、

「圧力鍋ならどのくらい?」
「お店によって炒り時間が違う」
「家庭ならフライパンでもできる」

と、育て方だけではなく食べ方の会話へ自然と広がっていきました。

畑の話が、いつの間にか食卓の話になる。その距離の近さも、この農園ならではの魅力です。

さらに伊藤先生へ、「秦野の土や野菜づくりならではの特徴はありますか?」と尋ねると、返ってきたのは“水”についての話でした。

「秦野ならではで言うと、やっぱり水質がすごくいいと思うんです。野菜ってビタミンや繊維もありますけど、基本的にはほとんど水分。だから水質って品質にすごく影響すると思うんですよ」

そして、こう続けます。

「秦野は水がいいので、おいしい水でおいしい野菜が育つというところですね」

全国名水百選にも選ばれた「秦野盆地湧水群」を形成する秦野市。

表丹沢の麓に広がるこの土地では、昔から落花生や葉たばこなど農業が盛んで、豊かな水とともに食文化が育まれてきました。

そんな土地の水で育った野菜を、自分で植え、育て、収穫し、味わう。

それは単なる農業体験ではなく、秦野の風土そのものを味わう時間なのかもしれません。

近年注目される「ガストロノミー」とは、その土地ならではの食や農、文化を体験し、心の豊かさや健康(ウェルビーイング)につなげる考え方を指します。

はだのコモンズ体験農園で体験できるのも、まさにそんな「食・農・地域」がつながる時間。

土に触れ、育て、収穫し、食べる。 その一連の体験は、普段の忙しい暮らしの中で少し忘れがちな、食べものが生まれるまでの時間を思い出させてくれるようでした。

土に触れたあとは、秦野の“おいしい”へ。はだのガストロノミー半日モデルコース

各自の一般区画で作業する利用者の皆さん

はだのコモンズ体験農園で感じたのは、野菜を育てるだけではなく、その先にある食や地域とのつながりでした。

せっかく秦野で土に触れたなら、収穫や栽培体験だけで終わらせるのは少しもったいないかもしれません。

ここからは、取材を通して見えてきた「食・農・地域」を味わう、はだのガストロノミー半日モデルコースを紹介します。

1.地元野菜を知るなら、まずは直売所へ

    はだのじばさんず外観

    はだのコモンズ体験農園に隣接するのが、【JAはだの ファーマーズマーケット はだのじばさんず】。秦野産の旬の野菜や果物、加工品などが並ぶ大型直売所です。

    栗原さんは、JAはだのでは「まず地元野菜に興味を持つ」ことも、農に関わる入口のひとつとして考えているそう。 採れたて野菜を見ながら、「次は育ててみたい」と思う。そんな循環がここにはあります。

    はだのじばさんず公式サイト
    https://ja-hadano.or.jp/jibasanzu/

    2.農園のあとにご褒美。秦野の恵みを味わうジェラート

    テラス席も人気のSun’s Gelato(サンズジェラート)

    畑仕事のあとに立ち寄りたいのが、こちらも隣接するジェラートショップ。【Sun’s Gelato(サンズジェラート)】。地元食材を活かしたジェラートを楽しめる人気店です。 土に触れたあと、冷たいジェラートを味わう時間もまた、秦野ならではの豊かさかもしれません。

    Sun’s Gelato(サンズジェラート)公式サイト
    https://ja-hadano.or.jp/sunsgelato/

    3.秦野野菜を味わうなら。向かいの中華料理店へ

    チャイナガーデン

    農園の向かいには、【チャイナガーデン】があります。

    秦野産の野菜も取り入れた料理が楽しめるお店で、「育てる」だけではなく「食べる」まで体験をつなげられる場所。

    自分で土に触れたあとに食べる地元野菜は、普段とは少し違って感じられるかもしれません。

    チャイナガーデン公式サイト
    https://chinagarden.co.jp

    4. 最後は温泉でひと休み。秦野の名水文化を感じる

    表丹沢の麓に広がる秦野は、全国名水百選にも選ばれた秦野盆地湧水群を形成するまち。市内には温泉や、良質な水を活かした入浴施設も点在しています。

    畑で汗をかいたあと、湯につかりながら一日を振り返る。 そんな過ごし方まで含めて、秦野のガストロノミー体験なのかもしれません。

    はだのコモンズ体験農園の周辺だけでも、こうした“はだのガストロノミー”を感じられる場所があります。さらに気軽に農と関わりたい人には、「収穫体験」から始める選択肢もあります。

    「いきなり区画を借りるのは少し不安」 そんな人には、収穫体験イベントもおすすめです。

    【はだの 農業満喫クラブ】
    https://hada-know.jp/mankitsu/
    とうもろこしや果樹など、季節ごとの収穫体験を通して、気軽に農と触れ合える取組。

    栗原さんはこうも語ります。

    「じばさんずで地元野菜を知る → 収穫体験 → はだのコモンズ体験農園 → さらに農へ関わる」

    そんなステップも、はだの都市農業支援センターが描く「農に関わる人の裾野を広げる」構想のひとつです。

    土に触れ、育て、味わい、くつろぐ。

    はだのコモンズ体験農園を起点に巡ってみると、秦野の魅力は「農業体験」ではなく、「暮らしそのもの」へつながっていることに気づきます。

    まさにこれが【はだのガストロノミー】なのです。

    まずは半年からでも。はだのコモンズ体験農園、次回募集は7月から

    はだのコモンズ共同区画の種植え風景

    「農業に興味はあるけれど、1年続けられるか不安」

    「いきなり区画を借りるのはハードルが高そう」

    取材中もそんな声があるのではないかと想像していましたが、栗原さんによると、2026年度は秋冬野菜限定の“半年コース”の募集も予定しているそうです。

    募集開始は6月25日(木)から7月24日(金)を予定しており、秋冬野菜コースは8月中旬頃からスタートする予定です。募集開始の案内などは【はだのガストロノミー宣言】のポータルサイトからチェックできます。

    はだのガストロノミー宣言 ポータルサイト
    https://hada-know.jp/

    これまで通年利用が中心だった中で、「まずは半年だけ試してみたい」という人も参加しやすい形を検討しているそう。

    栗原さんは今後について、「2年目、3年目の利用者が増えて、先生の言葉をそしゃくして初心者へ教えてくれるようになればいい」

    と話します。

    先生から学び、利用者同士で支え合いながら、少しずつ地域の中で農を楽しむ人が増えていく。

    そんな循環も、この農園が目指す姿なのかもしれません。

    「野菜を育ててみたい」

    その気持ちが少しでもあるなら、まずは半年から。土に触れるところから始まる、はだのガストロノミーの入口をのぞいてみませんか。

    土に触れ、育て、味わう。はだのガストロノミー宣言は“暮らし”を体験することだった

    収穫した野菜を誇らしげに見せる子ども

    取材当日、畑では子どもたちが夢中になって収穫し、「とれたよ!」と嬉しそうに収穫した野菜を見せてくれる場面がありました。

    特に印象的だったのは、“野菜を育てる体験”そのものより、土を触り、大人と一緒に時間を過ごす過程を楽しんでいたことです。

    そこで伊藤先生へ、「子どもがこうした農業体験に参加する意味はありますか?」と聞いてみました。

    すると返ってきたのは、技術や知識ではなく、自然と向き合う感覚についての話でした。

    「自然のものって、思い通りにいかなくて当たり前なんですよね。工業製品みたいに全部同じにはならない。例えば同じ日に植えても大きさが変わったり、管理の仕方で差が出たりする。そういう“自然ってそういうものなんだ”っていうことは知ってほしいですよね」

    同じ種を植えても、同じようには育たない。

    手をかけても思うようにならないこともある。

    でも、それも含めて自然であり、生き物を育てるということ。

    効率や正解を求める場面が多い日常の中で、「思い通りにならないものと付き合う感覚」を知る機会は、意外と少ないのかもしれません。

    伊藤先生はさらに、「アスファルトの上とは違って、こういうところで走り回ったり、土を触ったりしているだけでも五感を使って成長していくんですよね」と話します。

    確かにこの日、子どもたちは畑の中を行き来しながら、大人と一緒に作業し、ときには土に触れ、虫をとり、落花生を割り、夢中になっていました。

    “農業体験”という言葉より、自然の中で過ごす時間そのものが、子どもたちにとって大きな学びになっている。そんなふうに感じた一日でした。

    育てる。収穫する。食べる。

    そして、その土地の水や風土、人とのつながりを知る。

    今回体験した「はだのコモンズ体験農園」は、野菜づくりだけではなく、秦野の食・農・地域文化を五感で味わう“はだのガストロノミー”の入り口だったように思います。

    地元野菜を知り、旬を味わい、地域の人と関わりながら、その土地ならではの豊かさを体験する。

    それは観光というより、秦野の暮らしを少しだけ自分のものとして体験する時間なのかもしれません。

    土に触れるところから始まる、はだのガストロノミー。 次はあなたも、秦野の暮らしを少しだけ体験してみませんか。

    【はだのコモンズ体験農園】
    はだの都市農業支援センター
    ■住 所:秦野市平沢477番地
    ■電話番号:0463-81-7800
    ■営業時間:平日午前8時半から午後5時まで
    ■公式ホームページ
    https://hada-know.jp/
    ■駐車場:あり(無料)
    ■募集情報・最新情報:はだのガストロノミー宣言ポータルサイトを確認

    OMOTANライター 及川 じゅりこ (おいかわ じゅりこ)
    【得意分野】 子どもと楽しむ

    3年前に子育て環境を重視して都心から秦野市に移住してきた週1都内勤務のほぼリモートワーママです。
    やんちゃな息子2人と新しい事に挑戦したり、楽しいスポットにお出かけすることが大好き!OMOTAN子連れスポットのリアルな体験をお届けします。

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