ストレスホルモン軽減や免疫機能の向上など、科学的にも健康効果が認められている森林セラピー。緑あふれる森に足を踏み入れると、みずみずしい景色や心地よい香りが広がり、スッと体が軽くなるような癒しを感じますよね。秦野市には、そんな森林セラピーに適している「森林セラピーロード」が5つあります。
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その中でも「蓑毛・春嶽湧水(みのげ・はるたけゆうすい)コース」は、紅葉とスイーツが同時に楽しめる全長2.3キロメートルのコース。「長い時間、歩かないといけないのでは?」と構えてしまう方もいるかもしれませんが、コース内を20分ほど歩くだけでも、紅葉やおしゃれなお店を巡ることができます。
「蓑毛・春嶽湧水コース」のスタート地点の「青年橋」へは、小田急線秦野駅北口から「蓑毛」行き、または「ヤビツ峠」行きのバスに乗り約20分。県道70号(秦野清川線)沿いの「青年橋」バス停で下車します。「青年橋」を西へ曲がると「蓑毛・春嶽湧水コース」の森林セラピーロードです。
夜にはライトアップも!紅葉に映える古民家「緑水庵」
森林セラピーロードへと進む前にまず立ち寄りたいのが、「青年橋」バス停から南へ徒歩1分ほどのところにある1つめの紅葉スポット「緑水庵」です。
緑水庵は、1930年に秦野市今泉に建てられた旧芦川家の住宅で、1991年に現在の場所に移築、復元されました。かつて葉タバコ栽培が盛んだった地域ならではの建築様式が特徴で、2020年には国の登録有形文化財に登録されました。農具や日用品も展示されており、見学を通じて当時の生活を知ることができます。
木造の素朴な佇まいは、どこか懐かしさを覚えます。2020年に公開された映画『咲(え)む』のロケ地にもなりました。
緑水庵に隣接する県道70号沿いには、水車小屋があります。丹沢山系から豊かな水がもたらされる秦野市では、かつて各地で水車が活躍しており、米や麦の加工、そして秦野市の名産の1つ、そばの製粉など、生活に欠かせない存在でした。
緑水庵では11月下旬から12月上旬にかけて、鮮やかに色づいた木々が見頃を迎えます。さらに日が沈むとライトアップが行われ、幻想的な光に照らされた紅葉が、夜空に浮かび上がるように輝きます(2024年のライトアップは終了しました)。
緑水庵の裏手には「蓑毛自然観察の森」への入口があり、ここから森の中へと入って、散策ができます。2024年11月には新たに大型バスも停められる広い駐車場や多目的広場が整備され、訪れる人にとってさらに便利になりました。
のどかな風景の中を歩く森林セラピーロード
「青年橋」バス停すぐ近くの県道70号をヤビツ峠方向に向かって左手(西側)に入ると、森林セラピーロード「蓑毛・春嶽湧水コース」が始まります。
曲がるとやがて視界が開け、のどかな風景が広がります。遠くには表丹沢の山々が見え、穏やかな景色に心が癒されます。道の脇には小さな自然公園もあり、散策の途中でちょっと立ち寄るのもおすすめです。
公園を過ぎた先にあるT字路を北に曲がり、棚田を眺めながら通り過ぎると「桜ともみじのワクワク広場」という広場にたどり着きます。その名の通り、春には桜、秋にはもみじと四季折々の自然を楽しめるスポットです。天気の良い日には、お弁当を食べながらのんびり過ごせそうです。
広場を出て、景色を眺めながら道なりにのんびり15分ほど歩くと、蓑毛バス停前の広場に到着します。ここにはトイレが設置されており、散策の途中で立ち寄るのにとても便利です。「蓑毛・春嶽湧水コース」を続けて歩く場合は、県道70号を渡り、川沿いの道を歩いて行きます。そして、広場の脇には、地元の人や観光客にも評判のお菓子屋さん「丹沢講房(たんざわこうぼう)」があります。
おやまの本とお菓子屋さん「丹沢講房」
蓑毛バス停のすぐ目の前に位置する「丹沢講房」は、前面がガラス引き戸になっているレトロな造りで昔ながらの趣を残しつつも、温かみのあるお店です。
もともとは、現店主・小澤まゆらさんの祖母が「みのげや」という名で長年食料雑貨店として営業していましたが、小澤さんが引き継ぎ、7年前に自家製スイーツのお店として再オープンしました。小澤さんは、かつて洋菓子店でパティシエとして腕を磨いており、その経験を生かしてお客さんに喜ばれるスイーツを作り続けています。 お菓子に使用している小麦は全て国産を使用。表丹沢によく訪れるロードバイク愛好家や登山者にとっても、手軽にさっと食べやすいように作られています。
人気が高いのは、やはり定番のシフォンケーキとプリン。そして、1月から5月にかけて販売されるイチゴを挟んだシフォンケーキも、とても人気があるそう。筆者も実際にいただきましたが、シフォンケーキは驚くほどふわっふわ、プリンはとろけるような舌触り。どちらも甘さ控えめで、卵の豊かな風味が感じられ、疲れた体にも優しく染み渡る味わいでした。
丹沢講房の魅力はスイーツだけにとどまりません。店内は、所せましと本や雑貨などが飾られていて、おもちゃ箱のようでワクワクします。一角には、絵本と雑貨の出張ショップ「シトロンブックス」が独自にセレクトした絵本コーナーもあり、購入することもできます。小澤さんのセンスあふれる雑貨などを眺めていると、時間を忘れてしまいそうです。
宝蓮寺(ほうれんじ)・大日堂(だいにちどう)、古くからある心安らぐお寺
丹沢講房から蓑毛橋を渡り、徒歩1分ほどのところに宝蓮寺があります。
宝蓮寺は、奈良時代に建立された大日堂を管理していた薬音寺を前身とするお寺です。鎌倉時代後期に開かれ、1669年、同族の女性「宝蓮信女」の菩提を弔うため薬音寺を再興し、現在の「宝蓮寺」という名に改められました。
秋には参道に紅葉のトンネルが現れ、訪れた人々を鮮やかに出迎えます。本堂の周辺にも紅葉樹が植えられ彩りを添えます。
県道70号を挟んで向かい側に「宝蓮寺大日堂」があります。大日堂は、奈良時代の天平14年(742年)に聖武天皇の勅願所として建立されたと伝えられています。大山の西側にあり、登山口近くに位置していることから、かつては大山信仰の拠点として栄えたそうです。堂内には、珍しい五智如来や室町時代の木造十王像、百番結願と伝わる聖観音像が安置されています。
豊かな自然に包まれて静かに佇む宝蓮寺や大日堂は、秋には多くの人が足を運ぶ紅葉スポットです。散策や登山、ヒルクライムの途中で立ち寄れば、表丹沢の美しい景色を楽しみながら、この地域の歴史や山岳信仰について触れることができます。
少し歩くだけでも、昔ながらの素朴な風景と紅葉、スイーツが楽しめる蓑毛エリア。心を穏やかにしたいときにぴったりの場所です。 特に紅葉の季節には一段と魅力が増すので、のんびりと散策しながら、心も体もリフレッシュしてみませんか?
※記事中の写真は、2024年11月25日、または2024年12月2日に撮影しました
■施設名:緑水庵
■住 所:〒257-0021 神奈川県秦野市蓑毛269
■電話番号:0463-82-9618 (秦野市役所 環境産業部 環境共生課 環境総務担当 )
■営業時間:4月から10月 午前10時から午後5時、11月から3月 午前10時から午後4時
■定休日:月曜日(祝日と重なる場合はその翌平日)、12月29日から1月3日
■施設情報
公式ホームページ:https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000000492/index.html
■施設名:丹沢講房
■住 所:〒257-0021 神奈川県秦野市蓑毛530
■営業時間:10:00-16:30
■定休日:月曜日~金曜(変更の可能性があるためInstagramをご確認ください)
■施設情報
公式ホームページ:https://tanzawacooboo.jimdofree.com/
Instagram:https://www.instagram.com/tanzawacooboo/?hl=ja
■施設名:宝蓮寺、大日堂
■住 所:〒257-0021神奈川県秦野市蓑毛674
■施設情報
公式ホームページ:https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_hourenji.html
http://www.minoge-bunka.org/others/index.html
【得意分野】 登山、キャンプ
ライター、カメラマンとして活動しながら、趣味の山登りを楽しんでいます。
神奈川に移り住み、初めて表丹沢を訪れたとき、その美しさにすぐに引き込まれました。
自然の息吹を感じられる表丹沢の素晴らしさを、言葉と写真でお届けします。
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