
神奈川県秦野市は、表丹沢の山々から流れ出る「名水百選」にも選ばれた清らかな水と神奈川県唯一の盆地に広がる肥沃な土壌に恵まれた地域で、新鮮野菜をはじめとする農産物の宝庫です。 地元農家が丹精込めて育てた野菜や農産物・加工品を直接購入できる、OMOTAN(表丹沢)エリアの2大農産物直売所「はだのじばさんず」と「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」の魅力やおすすめ商品を取材してきました。
目次
地元農家が育てた新鮮野菜を直接購入!秦野市には直売所がいっぱい

秦野市内を移動していると、朝どれの新鮮野菜や農産物を生産者から直接購入できる大規模な直売所から個人の小規模直売所まで、大小様々な直売所をあちらこちらでみかけます。
2024年度現在で市内には22の直売所施設があります。どの直売所も生産者の皆さんが丹精込めて育てた様々な旬の新鮮野菜や農産加工物が並び、それを買いもとめるたくさんの方でにぎわっています。生産者の顔が見えることで農作物へのこだわりや魅力を知り、食の安心へとつながる機会を提供しているのでしょう。
今回、OMOTAN(表丹沢)エリアを代表する「はだのじばさんず」 「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」の2大直売所で、秦野ならではの名水が育む絶品新鮮野菜や、ここでしか買えない地元ならではの農産物などそれぞれの直売所の魅力やおすすめ商品を徹底調査しました。
神奈川県最大規模の売場面積と豊富な品ぞろえ「はだのじばさんず」

「はだのじばさんず」は、JAはだのが運営する、農畜産物や加工品を中心に扱う大型直売所です。 秦野市の農家が朝どれ野菜を出荷し、その日のうちに販売されます。
キャベツや白菜といった常備菜に加え、スーパーではなかなか手に入らない珍しい野菜や、農家手作りの加工などが充実しています。
秦野在住の記者もじばさんずの常連であり、数えきれないほど来店しています。店舗を訪れてまず目を引くのが直売所の広さです。神奈川県下最大規模の売り場面積は驚きの617㎡。学校の体育館ほどの売り場に見渡す限りの新鮮野菜や農産物がずらっと並ぶ姿は圧巻で、思わず「秦野中の農作物が全てここに届いているのでは?」と圧倒されます。
取材日は平日でしたが、地元と思われるお客さんがひっきりなしに訪れている姿が印象的でした。中には、商品を陳列している生産者さんと会話をしているお客さんもみられ、商品を購入するだけではない、コミュニケーションも楽しんでいるように見えます。
週末はさらにエリアが広がり、神奈川県内の各地から秦野の新鮮野菜を求めて来店されるとのことで、開店直後から敷地内にある駐車場があっという間に埋まることも珍しくないようです。
気になる農産物やお目当ての新鮮野菜を手に入れるには早めの時間に訪れたほうが良さそうです。
季節ごとで顔ぶれが変わる新鮮野菜や、秦野の特産品、限定商品までそろっていて、あれもこれもと目移りしますが、そんな豊富な品ぞろえの農産物の中からおすすめ商品をはだのじばさんず北原慶徳店長にうかがってみました。
冷凍ゆで落花生「うでピー」

北原店長が最初におすすめしてくれた商品は、冷凍ゆで落花生「うでピー」です。実は落花生は、国内で秦野を発祥とする農作物で、県内での生産量も一位を誇っています。
風味が豊かで旨味の強い掘りたての落花生をさやごとゆでて瞬時に冷凍。旬の味をぎゅっと閉じ込めています。「うでピー」の商品名は、秦野の方言で「茹(ゆ)でる」ことを「うでる」と発音することからつけられました。
塩ゆでの塩味がほどよく、ビールのおつまみや小腹が空いたときのおやつにもぴったり。ユニークな商品名と目を引く明るいパッケージが特徴でお土産物としても人気で多数購入される方も珍しくありません。
丹沢のさくら漬使用「八重桜ソーセージ」

北原店長が次に紹介する商品は、「八重桜ソーセージ」。神奈川県と生産者団体で構成される「かながわブランド振興協議会」の認定を受けたかながわブランドの『丹沢のさくら漬』と、国産豚肉「やまと豚」を使用している、はだのじばさんずのオリジナル商品です。
丹沢のさくら漬けは、秦野市千村地区で収穫した食用の八重桜を40日間白梅酢と塩で漬け込んだ商品で、お祝いの席の桜湯や菓子などに使われます。
八重桜ソーセージは、手間暇かけた丹沢のさくら漬をソーセージに練り込み、さくら漬の風味と香りに、やまと豚のジューシーさが加わった、口の中でほんのりと春を感じる風味豊かな一品です。
さくら漬けの風味を最大限引き出すためにボイルして食べて欲しいのですが、記者のおすすめ調理方法もご紹介します。
記者おすすめの調理方法
ボイルした後に水分が飛ぶ程度に軽くグリルすると、外はパリッとやまと豚のジューシーさがアップして、中はさくら漬けの風味とふんわりの対比が楽しめます。
風味とジューシーさの両方を引き出せるのでぜひ試してみてください。
表丹沢のめぐみ「秦野のお茶」各種

秦野といえば、と次に北原店長が案内してくれたのは、丹沢、箱根山麓一帯の山間部で生産される「足柄茶」。秦野市は足柄茶産地の一つとなっており丹沢山地の清らかな水、昼夜の寒暖差、そして豊かな土壌により、高品質なお茶として長く愛されています。表丹沢の山間部で育てられた茶葉は冷涼な気候の中で育つため、香り高く、まろやかな旨みが特徴です。
はだのじばさんずでは、足柄茶の中でも人気の高い高梨茶園やわさびや茶園、柏木茶園、丹沢茶園の茶葉を購入できます。個人工場で独自のブランドを追求し「足柄茶」の原料として㈱神奈川農業茶葉センターへ出荷している茶園もあり、こだわりの一服と出会えます。
様々な種類の茶葉がありますが、やはりおすすめなのは各茶園の煎茶です。秦野のお茶の特徴は色味が薄く透き通っているので、じっくり抽出しても鮮やかな薄緑色はそのままで、より深い旨味を楽しめます。各茶園の煎茶の飲み比べなどもぜひ楽しんでみてください。
これは外せない「新鮮野菜」

最後に北原店長は、農産物直売所といえば外せない「新鮮野菜」をおすすめしてくれました。はだのじばさんずも朝どれの野菜を生産者自らが直接持ち込んで陳列されています。
北原店長は、「ジャンルが幅広く種類が豊富なのが特徴です。一人一人の生産者さんがたくさんの工夫やこだわりの中で農作物を作ってくれていて、生産量は少ないけれども、直売だから出せる、という珍しい野菜も出荷してくれます。毎日来ても飽きないお店です」と教えてくれました。

神奈川県下最大級の農産物直売所「はだのじばさんず」は、広い売り場に無数の商品が並ぶ農産物のテーマパークでした。
今回ご紹介できなかった生花や、加工品、地元のパンやお菓子、他にも全国のJAと産地間提携を結んでおり各地の特産品とまだまだ所せましと並んでいるのでぜひ訪れて広さと農産物の豊富さを直接感じてみてください。
生産地のすぐ横にある農産物直売所「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」

「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」は表丹沢のふもとに位置する「田原ふるさと公園」に併設された農産物直売所です。
直売所からの景色は、見渡す限りの田畑が広がっており、文字通り採れたての新鮮野菜を購入できます。
取材の日は少し早い時間に伺ったのですが、新鮮野菜を多数出荷する地元生産者の方が後を絶たず、地元密着の直売所ならではの交流も盛んでした。
一歩直売所内に入ると、木で作られた温かみのあるスペースが広がります。
秦野産の木材で作られた直売スペースは風通しがよく、農産物の鮮度管理にも役立ちそうです。隣接する休憩スペースにはテーブルと椅子が並び、買い物や公園に訪れた方の憩いの場になります。
「田原ふるさと公園」敷地内には、公園内の水車小屋で石臼製粉した手打ちそばやそば打ち体験を楽しめるそば処「東雲」、湧水スポットの「金剛の泉」があります。隣接地には、源野実朝公の御首が葬られたと伝えられている「源実朝公御首塚」があり、東地区の観光拠点としても魅力がいっぱいです。
豊かな自然と歴史を伝承する史跡に囲まれた田原ふるさと公園東地区農産物直売センターのおすすめ農産物を、地元生産者組合の「東地区農産物直売研究会」会長の湯山忠夫会長に伺ってきました。
どこよりも安い!「新鮮野菜」

東地区農産物直売センターの新鮮野菜はどれもみずみずしく、生産者の皆さんが丹精込めて育てている様が目に浮かびます。この日並んでいた白菜やキャベツ、ブロッコリーなども大きく、目にも鮮やかな野菜ばかりでした。
近づいてその1つ1つを手に取ってみると、そこには生産者の氏名が明記された値札が添えてありそのお値段に驚かされます。野菜の高騰が続く中、旬の野菜をどこよりも安価で買えるのは直売所ならではです。
湯山会長も「旬の美味しい野菜をどこよりも安く売っています」と自信を持って断言されていました。

「冬なので並んでいる野菜の種類は少ないのですが・・・」と湯山会長は話していましたが、そんなことはありませんでした。取材の日も季節の葉物野菜に根菜類、ハウス栽培のトマト、原木しいたけなど、地元の生産者さんだけでここまでの種類を生産されているのかと驚かされました。
記者メモ書き
「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」に出荷された野菜の一部は、東名高速道路の中井パーキングエリアでも購入できると耳寄りな情報も教えていただきました。
毎朝、湯山会長が出荷された商品を届けており、直売所を訪れることができなかった方も手軽に新鮮野菜を手に入れることができます。
地場野菜たっぷり「実朝漬け」

田原ふるさと公園東地区農産物直売センターでは、田原ふるさと公園内の漬物加工所で作られる商品も販売されています。「実朝漬」は、地元で収穫された野菜(キュウリ、ナス、大根、青しその実)を使い、醤油漬けにした漬物で、発売から20年以上続くロングセラー商品で地元に愛されて育った逸品。
独特な商品名は、加工所近くに「源実朝公御首塚」があることが理由で、お土産でも「えっ!源実朝のお墓って秦野にあるの!?」と、話題が膨らむでしょう。パリパリとした野菜の食感と甘辛い醤油味でごはんがすすみます。
休憩スペースで手軽に食べれる「手作りパンやお菓子」

「これまでは、農産物の取り扱いがメインでしたが、少しずつパンやお菓子も取りそろえていきたい」と語る湯山会長。
店内には地元東地区の手作りパンを販売する「まるきパン」のパンやお菓子も並んでいます。

早速記者も田原ふるさと公園の休憩スペースで「実朝おやき」をいただきました。
こちらの商品は、おすすめ商品として紹介した実朝漬とまるきパンのコラボ商品。
ふっくらとしたパン生地のおやきで具に甘辛の実朝漬がたっぷり入っています。これだけでも十分なボリュームなので東地区散策後の食事にもぴったりです。

豊かな自然に囲まれた生産地直結の「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」は生産者の顔が見える地元密着のアットホームな農産物直売所でした。
農産物を出荷され一仕事終えた後に火を囲んで語り合う姿があり、生産者の皆さんの協力があってこその安心・安全な野菜をどこよりも安く販売されていると感じる光景でした。
OMOTANエリアにきたら直売所めぐりもお忘れなく!

今回、OMOTAN(表丹沢)エリアを代表する2大直売所「はだのじばさんず」 「田原ふるさと公園東地区農産物直売センター」からおすすめ商品をご紹介しました。
どちらの農産物直売所も安心・安全な新鮮野菜をお安く購入できるのはもちろん、地元ならではの特色のある商品や生産者の皆さんにも出会えました。
名水が育む豊かな土壌に育てられた多彩な農産物を探しにOMOTANエリアにきたら直売所めぐりもお忘れなくお立ち寄りください。
はだのじばさんず
■住所:神奈川県秦野市平沢477
■アクセス:東名高速道路「秦野中井インター」から車で約10分(駐車場250台有り)
■電話番号:0463-81-7707
■営業時間:午前9時~午後5時
■定休日:毎月第2火曜日(7月,8月除く)、1/1~1/3
■店舗情報 https://ja-hadano.or.jp/jibasanzu/
田原ふるさと公園東地区農産物直売センター
■住所:神奈川県秦野市東田原999
■アクセス:新東名高速道路 秦野丹沢スマートICより約20分(駐車場有り)
■電話番号:0463-84-1281
■営業時間:4~10月:午前8時45分~午後4時30分、11月~3月:午前8時45分~午後4時
■定休日:月曜日(月祝の場合は翌日振替)、年末年始
■店舗情報 https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/genre/1487659173680/index.html
https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html
そば処東雲
■住所:神奈川県秦野市東田原999
■アクセス:新東名高速道路 秦野丹沢スマートICより約20分(駐車場有り)
■電話番号:0463-84-1282
■営業時間:平日 午前11時から午後2時 休日 午前11時から午後2時30分 ※そばが売り切れ次第終了
■定休日:月曜日(月祝の場合は翌日振替)、年末年始
■店舗情報 https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/genre/1487659186545/index.html