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【ライター記事】丹沢屈指の絶景を誇る「表尾根縦走コース」を歩いて徹底レポート!ヤビツ峠から塔ノ岳へ

ヤビツ峠〜ニノ塔〜三ノ塔〜塔ノ岳〜大倉バス停

関東登山の名コース「表尾根縦走コース」を歩く

丹沢山塊の南部、秦野市に面した表丹沢の尾根道を縦走する、関東でも指折りの名コース「表尾根縦走コース」を歩いてきました!

起点となるヤビツ峠からニノ塔・三ノ塔・烏尾山・行者岳新大日と大小のピークを越えて表丹沢最高峰の塔ノ岳 (1,491m) を目指します。県立秦野戸川公園のある大倉バス停まで下山するとコースタイムで約7時間、鎖場やガレ場などの難所もあり、都内からも日帰りで本格的な縦走登山を楽しめます。

自然が好きなあまり秦野市に移住した筆者が、毎日ベランダから眺めている表尾根を歩いて、縦走コースの詳細と注意点をレポートします。

縦走コースの起点、ヤビツ峠(761m)へ

ヤビツ峠に到着

秦野駅から8時25分発のバスに乗車しました。山道をぐるぐるとバスに揺られて約50分でヤビツ峠に到着!この日は平日でしたが、登山客はやや多めで、ぎりぎりにバスに乗ったこともあり、終点まで立ったままとなってしまいました。

ヤビツ峠行きのバスは本数が少なく、特に平日は午前中に1本しか運行されていません(神奈川中央交通:時刻表)。休日には、たくさんの登山客でバス停が長蛇の列になり、臨時便が運行されることもあります。長丁場になりますので、登山口に早めに到着できるよう、余裕を持った計画をされることをおすすめします。

ヤビツ峠のバス停の目の前には、公衆トイレと登山届のポストがあります。また、休日にはヤビツ峠売店が開いています。売店前にある自動販売機では、水やジュース類も購入できます。

ヤビツ峠売店

塔ノ岳の登山口で準備!護摩屋敷の湧水スポット

ヤビツ峠からは約20分ほど車道を歩いて登山口に向かいます。登山口すぐ近くの富士見橋に公衆トイレがあります。その先100mほどに名水の里として知られる秦野の湧水スポットの「護摩屋敷の水(ごまやしきのみず)」があります。

富士見橋の公衆トイレ
護摩屋敷の湧水スポットは登山口すぐそば
護摩屋敷の湧水を汲む(冷んやりしていました)

※生水での飲用は避け、煮沸処理をして飲用してください。

特に夏場は大量の汗をかいて水分が失われますので、水は多めに用意してください。ここから塔ノ岳の山頂まで、水場はありません。

また、丹沢はヤマビルが生息していることでも有名なので、市販のヤマビル専用忌避剤を足元に振りかけて対策しました。特に雨の日の後や、6月〜9月頃はヤマビルが活発化しているので、しっかりと対策されることをおすすめします。

市販のヤマビル専用忌避剤を握りしめて出発

準備を整えたら、いざ塔ノ岳を目指して登山スタートです!

表尾根最初のピーク「ニノ塔」を経て「三ノ塔」へ

登山口からはいきなりの急登で、本格的な登山を感じさせます。 樹林帯の中の山腹を、体を慣らすためにゆっくりと登りましたが、歩き始めて数分ですでに汗だくになりました。登山口ほど標高が低いのでヤマビルを警戒していましたが、この日は特に見かけませんでした。

登山道入口から急登がはじまる
歩き始めて数分で汗だくに、水分補給も欠かせません

急登が続き無我夢中で登り始めて約1時間、視界が開けてふと足を止めて振り返ると、大山や秦野の市街地が見渡せました!景色が見えると少し元気が湧いてきますね。

大山(左)と秦野の市街地を望む

ほどなくしてニノ塔に到着すると、休憩できる大きめのベンチが並んでいます。「三ノ塔まではあと少し!」と思いきや、一度鞍部へ下り、尾根を登り返して三ノ塔に到着します。

ニノ塔山頂のベンチ
三ノ塔へと登り返す尾根からは富士山が見えます!

三ノ塔(1,205m)山頂は富士山の展望スポット

三ノ塔に登頂!

三ノ塔の山頂は広々としたスペースがあり、大きめのベンチや休憩所、トイレが設置されています。富士山の展望スポットとしても知られているので、ヤビツ峠から三ノ塔を往復するコースも人気があります。

この日は残念ながら雲に囲まれて真っ白でした。そんな時には、休憩所の中で暖をとることもできます。家から持ってきたハーブティーを飲みながらほっと一息つき、この先も長いので、カロリー高めのおやつを頬張りました。

この日は残念ながら雲に囲まれて真っ白でした。そんな時には、休憩所の中で暖をとることもできます。家から持ってきたハーブティーを飲みながらほっと一息つき、この先も長いので、カロリー高めのおやつを頬張りました。

三ノ塔山頂に広々としたスペースと休憩所
休憩所の中にも座る場所がたくさん
しっかり水分・エネルギー補給

山岳公衆トイレを利用する際には、維持管理費としてチップ(100円)が必要です。トイレットペーパーは切れていることもありますので、持参をおすすめします。

山岳公衆トイレとチップボックス

三ノ塔から烏尾山(からすおやま)へ 鎖場・ガレ場のある本格縦走!

 地蔵尊絶景ポイントから表尾根・大倉尾根の稜線を一望、奥の最も高い山が塔ノ岳です

三ノ塔から塔ノ岳方面へ歩を進めて約5分の地蔵尊付近に、はじめて表尾根を縦走した際に感激した、表尾根の美しい稜線を見渡せる絶景スポットがあります。これから登る塔ノ岳までの道のりや、下山する大倉尾根まで全部見えています。

ニットのお洋服を着た小さなお地蔵さんがいる場所が目印です。お地蔵さんはたまに衣装替えします。

表尾根の名物地蔵(この日はあいにくのお天気)

地蔵尊で絶景を堪能した後は、いったん大きく下り、鎖場・ガレ場のある本格的な縦走路が始まります。週末などは人が多くやや渋滞することもありますが、焦らずゆっくりと下ってください。特に雨の後など、岩や靴が濡れている時には要注意です。

徐々に鎖場・岩場がでてきます

鎖場・ガレ場を抜けて鞍部をゆるやかに登り返すと烏尾山に到着します。烏尾山の山頂には、とんがり屋根の烏尾山荘やトイレ、ベンチなどがあります。

烏尾山の山頂のベンチ・トイレ

行者岳・新大日を経て、塔ノ岳へ

烏尾山からは、行者岳や新大日など小さなアップダウンを繰り返しながら、尾根道を歩きます。歩きやすい木道が続き、きちんと整備されていることに感謝します!

植生保護のためにも木道を歩きましょう

ところどころ草木が生い茂り、手でかき分けて歩くところがありました。

生い茂る草木の中をかき分けて歩く

行者岳付近でも、また鎖場が2カ所。高さが10m以上ありますので、ゆっくりと慎重に通過しましょう。

一つ目の鎖場
二つ目の鎖場

新大日手前では、侵食されて一部斜面が崩落しているところがありますので、足元をよく見て通りましょう。ブナ林の尾根道を通り、塔ノ岳まではあと少しです。

ところどころ崩落している斜面があるので注意

途中、木ノ又小屋を通過します。ランプの小屋として知られていますが、かき氷やコーヒーなどカフェ利用も可能です(平日は閉まっています)。

表尾根の最高峰、塔ノ岳(1,491 m)に到着!

塔ノ岳山頂に到着、あいにくの天気で真っ白

表丹沢の最高峰だけあり、人気のあるピークなので賑わっていることが多いです。この日は、晴れ予報にもかかわらず霧の中…(こんな日もあります)。 

晴れた日に登ったときには、秦野在住の親子が富士山や相模湾・丹沢の山のパノラマを眺めながら「すごいだろ〜。こんな景色が見られるところに住んでいるんだぞ〜」と話しているのを小耳に挟んで、ほっこりとした気持ちになりました。

晴れの日は山頂から富士山も見えます!

山頂にはたくさん座れるところがあるので、山ごはんをしたりおやつを食べたりなど、ゆっくりと過ごせます。山小屋「尊仏山荘(そんぶつさんそう)」では、飲み物(コーヒー・お茶・ジュース・ビールなど)やカップ麺を購入でき、山小屋の中で休憩もできます。

山頂には休憩する場所がたくさん

水場もありますが、300mほど下る必要があり、往復で30分ほどかかりますのでご留意ください。

大倉尾根(通称バカ尾根)を下る 

塔ノ岳からは、大倉バス停まで全長7km、標高差1,200mの怒涛の下りが待っています。コースタイムで約2時間30分ですが、疲労が溜まっていると想定以上に時間がかかりますので、余裕を持って早めに下山を開始したいですね。

相模湾のキラキラと輝く景色を見ながら、ひたすら急斜面の階段を下っていきます。 

相模湾の景色を見ながら下山

大倉尾根を下山する際には、膝を痛めないためにも登山用のストックを使用することをおすすめします。要所で「あと何キロ」と書かれた看板が親切に設置されているのですが、見るたびに「まだあと4キロもあるの⁉️」と絶句するような、うんざりするほどの長い階段が続きます。通称「バカ尾根」と呼ばれています。

バカ尾根の怒涛の下り

そんな大倉尾根の救世主となるのが、ところどころ等間隔に現れる山小屋カフェです。花立山荘では、うどんやラーメンなどのランチも食べられますし、暑い日にはかき氷がおすすめです。そのほかにも、堀山の家、駒止茶屋、見晴茶屋、観音茶屋など、休憩がてら甘味やお茶、コーヒーなどを楽しむことができます。

花立山荘はランチメニューも充実
堀山の家で甘酒をいただく

※尊仏山荘以外は平日は閉まっているので注意してください。

※営業日は天候等で変わる場合もあるので、行く前に直接確認してください。

大倉バス停へ下山して表尾根縦走コース踏破!

県立秦野戸川公園の大倉バス停に到着

無事に大倉バス停に到着したら、表尾根縦走コース踏破です!!!

大倉バス停には休憩室やレストハウスのYAMA CAFE、トイレがあります。バスの発車まで時間があるときには、YAMA CAFEでビールなどを頼んでもいいですね。

大倉バス停からは小田急小田原線「渋沢駅」までアクセスします(約15分)。帰宅途中に温泉に入って帰るのもおすすめです。小田急線沿線にある鶴巻温泉などで、ゆっくりと汗と疲れを流してご帰宅ください。

※表尾根縦走コースは、大倉バス停からスタートする逆走もできますが、その場合はヤビツ峠のバスの本数が少ないので、逃さないように注意してください。

※記事中の写真は、取材当日に撮影したもの以外の過去画像も使用しています。

■登山コース概要
ヤビツ峠〜ニノ塔〜三ノ塔〜塔ノ岳〜大倉バス停
歩行距離:14.4km 歩行推定時間:7時間
※表丹沢総合ホームページより https://omotan-hadano.jp/activity/omoteonejuusoucourse/
■アクセス
ヤビツ峠:小田急小田原線「秦野駅」から神奈川中央交通バス(約50分)
 神奈川中央交通:時刻表(秦野駅→蓑毛経由ヤビツ峠行)
大倉バス停:小田急小田原線「渋沢駅」から神奈川中央交通バス(約15分)
 神奈川中央交通:時刻表(大倉→渋沢駅北口行)

OMOTANライター 河村 知香 (かわむら ちか)
【得意分野】 登山、キャンプ、ハーブ、旅企画

山旅専門の会社で企画手配や添乗の仕事をしていました。秦野市に移住して約3年、丹沢の主要な山はすべて登り、庭でハーブを育てたり、夫婦でキャンプをしたりと、丹沢の奥深い自然とゆとりのある環境を満喫しています。山の経験や移住者目線を生かして、表丹沢の魅力をお届けします。
Instagram:@kawamura.chika

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