
赤くてつやつや、甘酸っぱくジューシーで、果物の中で見た目も味もイチゴが一番好き!という方も多いのではないでしょうか。表丹沢は、神奈川の中でも有数のイチゴの産地。秦野市内にはイチゴ狩りができる観光農園もあるんです!都心からのアクセスも良く、何より摘みたてのイチゴがとってもおいしいと近年大人気なんだそう。そこで今回は、JAはだのやさい部会いちご部の部長である片野和彦さん(62歳)、そしてJAはだの営農販売課に、秦野産のイチゴの特長から観光農園に寄せる思いまでたっぷりお話をうかがってきました!また、イチゴ狩りができる観光農園も紹介していきます。イチゴ好きの皆さん、必見ですよ~!
目次
秦野のイチゴ栽培、そしてJAはだのやさい部会いちご部とは?

かつては葉タバコの産地として有名だった秦野市。降雪が少なく気候にも恵まれた地として、現在でもたくさんの農作物が栽培されており、イチゴもそのうちの一つです。
今回お話を伺った片野さんが部長を務めるJAはだのやさい部会いちご部は、1968年に組織化。当時の生産者は84戸、栽培面積は4万8,000㎡でした。
市場やじばさんず出荷・直売・観光農園など、いろいろな販売形態の組合員が加入しており、2024年12月時点では会員数は14名です。JAはだの営農販売課の担当者からは、「食に対する安全・安心や環境に配慮した農業が求められている中で、いちご部は天敵農薬を用いた生物的防除に取り組んでいます」との言葉をいただきました。 生産者への講習会や、技術の向上のための勉強会として他県のイチゴ農家へ視察に行くなど、秦野のイチゴ栽培のために日々尽力しています。
Point!
2024年12月時点での、いちご部会員のイチゴ栽培面積は、章姫、かなこまち、おいCベリーなど24品種あわせて、1万1,060.2㎡です。(2024年度いちご部員聞き取り調査による)
表丹沢の水と火山灰土壌で育った、秦野産のおいしいイチゴ

秦野産のイチゴは、みずみずしさと甘さが特長です。水はけの良い火山灰土壌で栽培されているため、水分ストレスがかかることで甘いイチゴに育ちます。
「おいしさの秘訣としては、あとはもちろん表丹沢の清らかな水を使っていることも大きいですね」と片野さん。実際に、秦野産のイチゴは神奈川県内の品評会で何度も受賞しています。
出荷は通常12月から始まり、一日に約100パックが出荷されていきます。イチゴにとってハイシーズンの春先には、1日の出荷量が約200パック近くになることも。ただし、2025年は前年秋の高温の影響で、全国的にイチゴの生育が遅れています。秦野も同様ですが、「最近の寒さで糖度は上がってきており、味は良い」とのことです。
う~ん、これは実際に食べてみたい…という訳で、今回は特別に試食をさせていただきました!

まずは、ちょうど選定・箱詰めを行っていた「章姫(あきひめ)」。早期出荷可能で、直売所などでも安定の人気を誇る品種です。

お、おいしい…!きっとおいしいと分かってはいましたが、本当においしかったです!取材日の朝に摘んだばかりのイチゴを味わえるなんて、何てぜいたく…!

「章姫(あきひめ)」は大粒で酸味が少なく、生食向きの品種とのこと。実際、どこまでもふんわりと甘さだけが広がっていき、ほとんど酸っぱさを感じなかったのが印象的でした。酸っぱくないイチゴなんてあるんだ…。あとは口のなかに広がるみずみずしさ!これはもう何もつけずに、果実そのままの味をぜひ味わってほしいです。生食向きってこういうことなんですね!
「章姫(あきひめ)」にすっかり感動してしまっていましたが、片野さんから「あともう一つ、『かなこまち』という品種をぜひ味わってほしい」との提案がありました。

「かなこまち」とは、2020年9月に品種登録出願され、2024年11月に登録されたばかりの、神奈川県オリジナルの品種です。糖度と酸味のバランスが良いのが特長で、2024年1月に行われた県いちご連品評会「果実の部」にて、片野さんが生産された「かなこまち」は神奈川県知事賞に輝いています。そんな「かなこまち」が食べられるなんて…!さっそく畑のハウスにもおじゃまさせていただきました!

しっかりと温度管理がされているハウス内は、少し暑いくらいでした。元気に飛び回るミツバチに気を付けながら、しゃがんで畑を見てみると…いました!かなこまち!

まずはもう、そのつやつやとした姿に釘付けになってしまいました。発光しているかのような、何とも言えない美しい紅緋(べにひ)色です。

摘み取った瞬間、次はジュワッと広がる香りにびっくり。口に入れる前にもう甘い!

気になるお味は…コクがすごかったです!こちらはしっかりと酸味も感じられ、甘さと酸っぱさが層として重なってやってきました。大粒で食べ応えもあり、しっかりとそのおいしさを堪能できます。
一個でこの濃さとジューシーさ…。生産が難しい品種だそうですが、こんなにおいしいなら頑張って作りたくなるのも納得です!このイチゴが神奈川のオリジナル品種として生まれたなんて、とてもうれしいです。

最後に、「星の煌めき」という品種もいただいちゃいました!こちらの特長はなんといってもその大きさ、ふくよかさ。赤ちゃんの握りこぶしくらいありました!おいしいイチゴにかぶりつきたい!という、イチゴ好きの夢が叶ってしまう‥。適度な酸味があり、大きくても飽きのこない味わいで、いくらでも食べられそうなほど。
何だかこの日だけで、一生分のおいしいイチゴを食べた気がします。

暖かいハウスの中で、宝石のようにキラキラと赤く光っているイチゴたちを見ていると、大切に育てられているのだなぁと幸せな気分になりました。大事な畑を案内いただいて、本当にありがとうございました!
観光農園が盛り上がることで、秦野、表丹沢の地域活性化も期待

実際に試食をさせて頂き、秦野のイチゴの美味しさを実感した筆者。これから迎えるイチゴのシーズン、ぜひ観光農園にもイチゴ狩りに行きたい!片野さんは観光農園を経営はされていないのですが、JAはだのやさい部会いちご部部長として観光農園に期待されていることを聞いてみたところ、
「秦野のイチゴ狩りは地域活性化に貢献しており、他市や他県からの観光客誘致に繋がっています。30代~40代の若い生産者が多いことも活性化の要因です。観光農園を通じて秦野のイチゴの評判が広まり、観光農園の帰りに『じばさんず』や地元のスーパーでイチゴをお土産に買って帰ってほしいですね」と、笑顔で答えてくださいました。
また、JAはだの営農販売課の担当者からは、「イチゴの生産者が減少する中、観光農園を営む生産者が『いちご部』へ加入したことで、従来の生産者にとって良い刺激となっています。観光農園が『秦野のイチゴ』を守り、盛り上げる役割を期待しています。また、イチゴ狩りなどを通じた農業者と観光客との交流は、農業の魅力と理解を深め、秦野市の観光農業が地域農業振興に一役買ってくれることを期待しています」と熱い言葉をいただきました。
美味しいイチゴを食べることで、秦野地域、表丹沢の活性化にもつながっていくなんて…!今後も観光農園にも注目していきたいですね。
摘みたての美味しいイチゴが食べられる!観光農園でイチゴ狩り!

ここからは、イチゴ狩りのできる観光農園のおすすめポイントをさらに詳しくご紹介していきます!2021年から始まった秦野のイチゴ狩り。最大のおすすめポイントは何といっても「都心からのアクセスが抜群」なこと!2022年4月に開通したばかりの新東名高速道路を使えば、都内からは約1時間で来れるんです。思い立ったら日帰りで気軽に体験できちゃいますよ!観光農園の近くには新東名・秦野丹沢スマートインターチェンジも開設され、とにかく便利になりました。
次に、全てのイチゴ園で「高設栽培」が採用されていること。しゃがみ込むこともなく、立ったまま摘むことができるので、足腰に不安を抱えていても大丈夫。通路も広い園が多く、ベビーカーや車いすでも安心して来園いただけます。つまり、ご家族皆で楽しめるんです!
安心、安全品質で、利便性もよく、どなたでも楽しめる!美味しいイチゴを心から楽しみたいなら、秦野市の観光農園でイチゴ狩りがおすすめです!
表丹沢でイチゴ狩りのできる観光農園

秦野市内でイチゴ狩りができる観光農園は6園あります。通常、イチゴ狩りでは2~3品種ほどしか楽しめないことが多いですが、秦野の観光農園では4種類から園によっては10種類のイチゴが楽しめます!今回ご紹介した、章姫、かなこまち、星の煌めきが食べられる園もありますよ(状況により品種が限られる場合がありますので、詳しくは各園にお問い合わせください)。
各園それぞれで食べられるイチゴの種類や特色も違うので、お気に入りの観光農園を見つけてみるのも楽しいかもしれません。秦野のイチゴが食べてみたい!と思った方、ぜひ訪れてみてくださいね。
■施設名:石田ファーム工房
■住 所:秦野市戸川639-1、横野582-1
■電話番号:090-1463-1583
■営業時間:午前の部 10:00~12:00(午前の部 最終入場11:30)
午後の部 13:00~15:00(午後の部 最終入場14:30)
■定休日:不定休
■施設情報
公式ホームページ:http://01411583.sweet.coocan.jp/
■施設名:かたのいちご園
■住 所:秦野市秦野市戸川1063
■電話番号:090-8114-2082
■営業時間:10:00~15:00(いちごがなくなり次第終了)
■定休日:不定休
■施設情報
公式ホームページ:http://www12.plala.or.jp/katafrag/price.html
■施設名:ファームスクエア丹沢の森
■住 所:秦野市秦野市堀西1328
■電話番号:080-2098-4452
■営業時間:9:30~(真っ赤な食べれるいちごがなくなり次第終了させていただく場合がございます)
■定休日:不定休(天候やいちごの生育状況によりやむなくお休みする場合がございます)
■施設情報
公式ホームページ:https://farmsq.net/
Instagram:@farmsq_tanzawa
(https://www.instagram.com/farmsq_tanzawa/?hl=ja)
■施設名:村上いちご園
■住 所:秦野市戸川1235
■電話番号:080-8181-9919
■営業時間:9:30~/11:00~ 午後は要問合せ(時間制限40分)
■定休日:不定休
■施設情報
公式ホームページ:https://ichigo-murakami.jimdofree.com/
Instagram:@murakami_ichigoen
(https://www.instagram.com/murakami_ichigoen/?hl=ja)
■施設名:蓑毛ベリー園
■住 所:秦野市蓑毛590
■電話番号:080-3399-0194
■営業時間:水・土・日曜日の9時〜15時(12時〜13時は昼休み)
■定休日:月・火・木・金
■施設情報
公式ホームページ:https://www.minoge-berryfarm.com/
■施設名:みどりやファーム
■住 所:神奈川県秦野市落合833-3
■電話番号:0463-59-9928
■営業時間:10:00~15:00(最終受付 13:00)※いちごの生育状況によりお休みあり
■施設情報
公式ホームページ:https://midoriya-farm.com/
Instagram:@midoriya.farm15
(https://www.instagram.com/midoriya.farm15/)
Facebook: https://www.facebook.com/midoriya.farm
【得意分野】 インタビュー、グルメ
フリーライターの那保です。国内旅行業務取扱管理者、添乗員資格有り。神社好き、シンガプーラ飼いの猫好き、美味しいものも大好き。
神奈川へは移住組、その多彩な魅力にまんまとハマってます。
表丹沢を駆け回れるようになるべく、目下体力づくりに奮闘中。インスタでは表丹沢ほか、魅力的な写真を投稿しているので、ぜひ覗いてみてください!
Instagram:@nyao_muu